──これは凄かった。
浮世絵の代表作 富嶽三十六景の神奈川沖浪裏
会場に一歩足を踏み入れた瞬間、空間ごと浮世絵に包まれたような感覚。
浮世絵 赤富士
赤富士の演出では、まるで絵が浮かび上がってくる。
「赤富士を立体にすると、こんな感じなんだな」と、ふと思った瞬間があって。
平面だったはずの浮世絵が、奥行きを持って目の前に現れるという体験は、とても新鮮。
そして色が動くだけでなく、山肌の質感や陰影、そういった細部が立体的に浮かび上がることで、空気感まで変わるんです。
奥行きがあるだけで、同じ「赤富士」でも、まったく違う印象になる。
赤から青へ──色が変わることで見えてくる
赤富士の色が青に変わった瞬間。
プロジェクションマッピングだからこそできる、浮世絵の“変化”。
目の前の山が、赤から青、そして金、さまざまな色へ変わる。
「これはもう、赤富士じゃないのでは?」
赤富士が青くなっても、そこに“赤富士の本質”は残っている。
構図、山の姿――変わっていないのに、色だけが変わることで、
逆に「赤」という色がどれだけこの浮世絵に力を与えていたか分かる。
この立体的な赤富士は、実在しない。現実の風景でも、絵画でもない。
でも、その“ありえない赤富士”を目の前で見ることで、本来の赤富士に対する理解が深まる。
動きが与える、“時代”という空気
今回の展示では、浮世絵に動きが加わったことで、そこに描かれているものが、ただの風景や人物ではなく、時代の空気そのものとして感じた。
当時の人々が見ていた風景、流れていた時間、肌で感じていた季節。
それらが、色と動きによって蘇るような感覚。
そして何より、色使いの美しさ。
赤、青、金、墨の黒――
ただ、それを「美しい」と言うだけでは足りない。なんとも表現しがたい。
この展示は、技術と芸術が完璧に融合した空間。過去を未来の手法で蘇らせた、まさに天才の所業だと思います。
0 件のコメント:
コメントを投稿