
8番出口
あらすじ
ごくごく普通の主人公は、日常の些細なトラブルすら見て見ぬふりを繰り返し、自分自身にも嫌気がさしている。 地下鉄の改札から外へ出ようとしたその瞬間、元彼女からの着信が鳴り響く。 けれど通話は途切れ途切れになり、繰り返し音声がループしてしまううちに、電話は突然切断。 画面を見ると「圏外」の表示。慌ててかけ直そうにも、周囲は見知らぬ不気味な場所へと変わっていた。
レビュー
本作は元となったゲームのシンプルなルール──
- 異変を見逃さないこと
- 異変を見つけたら、すぐに引き返すこと
- 異変が見つからなかったら、引き返さないこと
- 8番出口から、外に出ること
──を忠実に守りつつ、豊かな人間ドラマを紡ぎ出しています。 主人公の無力感や後悔、そして見知らぬ場所での不安が、繰り返し挿入されるループ的演出と相まって高い緊張感を生み出しているのが秀逸です。 登場人物が増えたことで関係性の深まりも感じられ、小説ならではの視点切り替えや内面描写が物語に厚みを与えています。 ゲーム原作ファンはもちろん、小説単体としても十分に楽しめる一冊です。
ネタバレ
総評
シンプルなゲームルールを起点に、人間の葛藤や不安を巧みに描いた小説として高く評価できます。 緊張感あふれるループ演出とキャラクター描写のバランスが絶妙で、ラストまで飽きさせません。
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