輸入を止めれば日本は豊かになる? ケインズ理論を数式だけで考える危険性
輸入・輸出・消費・投資・金利は、すべてつながって動いている
ケインズ経済学では、景気や国の所得を、 消費・投資・政府支出・輸出・輸入などを使って説明します。
```ただし、教科書に書かれた数式の一部分だけを見て現実の経済に当てはめると、 もっともらしいのに間違っている結論が生まれることがあります。
今回は、「輸入を減らせば日本経済は良くなる」という文章を題材にして、 どこがおかしいのかを考えてみます。
```まずは問題です
日本が海外からの輸入を規制し、できるだけ国内生産へ切り替えたとします。
すると、次のようなことが起きると考えました。
- 輸入が減る
- 国内で作るようになるため物価が上がる
- 物価が上がれば、賃金も必然的に上がる
- 輸入が減る一方で輸出は増える
- 貿易収支が黒字になる
- 日本経済が良くなる
- 日銀が金利を上げ、インフレを調整する
- 国債の評価が良くなる
- 日本円の信用や格付けも上がる
一見すると、筋が通っているようにも見えます。 しかし、この文章にはいくつもの問題があります。
```ケインズ理論の基本式
国全体の所得や生産を表すとき、よく次の式が使われます。
この式だけを見ると、輸入を表す「M」が減れば、 「X−M」が大きくなるように見えます。
そのため、 輸入を減らせば、その分だけ国の所得が増える と考えてしまうことがあります。
しかし現実には、輸入・輸出・消費・投資は、 それぞれが完全に独立しているわけではありません。
輸入を減らすことで、輸出や投資、消費まで悪化することがあります。
Q&Aで問題点を確認する
A. 必ず上がるわけではありません。
物価と賃金は関係していますが、物価が上がれば自動的に同じ割合で賃金が上がる、 という仕組みではありません。
賃金は、企業の利益、生産性、人手不足の程度、労使交渉などによって決まります。
物価が10%上がっても賃金が3%しか上がらなければ、 実際に買える物の量は減ります。
A. 国内で代わりに作れる物であれば、国内生産が増える可能性はあります。
しかし、海外から安く買っていた物を国内で作る場合、 人件費、設備費、電気代、原材料費などが高くなることがあります。
つまり、輸入品を国産品へ置き換えた結果、 同じ物を作るための費用が大きくなる可能性があります。
A. 輸出が増えるとは限りません。
日本は、石油、天然ガス、金属、飼料、化学原料、電子部品など、 国内生産や輸出製品のために多くの物を輸入しています。
輸入を制限すると、単に外国製の商品を買わなくなるだけではありません。 日本企業が製品を作るための原材料や部品まで高くなったり、 入手できなくなったりします。
さらに、輸入品を国内生産へ切り替えたとしても、 内製化によって製造コストが上昇すれば、そのコストは輸出品の価格にも影響します。
日本製品の価格が海外製品より高くなれば、国際競争力が低下し、 輸出数量が減る可能性があります。
A. 必ず上げるわけではありません。
金利は、物価に合わせて自動的に変化するものではありません。 日銀が景気、賃金、物価、金融市場などを見ながら判断する政策です。
日銀は金利を上げること自体はできます。 しかし、今回のように輸入規制や供給不足が原因で物価が上がっている場合、 金利を上げても原材料不足や生産コストの上昇は直接解決しません。
それどころか、企業や個人がお金を借りにくくなり、 設備投資や住宅購入、消費がさらに減る可能性があります。
A. 国内生産へ切り替えるため、一部の設備投資が増える可能性はあります。
ただし、設備や原材料の価格が上がり、将来の利益が見込めなくなれば、 投資を控える企業も増えます。
また、金利が上がれば借入費用も増えるため、 工場建設や機械購入を見送る企業が出る可能性があります。
A. 輸入規制だけで信用が上がるとは言えません。
国や通貨の信用は、経済成長率、財政状況、政治の安定性、 対外的な支払い能力、金融政策など、さまざまな要素から判断されます。
また、金利が上昇すると、新しく発行される国債の利回りは高くなりますが、 すでに発行されている低金利の国債は価格が下がることがあります。
したがって、「金利が上がれば国債が良くなり、円の格付けも上がる」 と単純には言えません。
身近な生活に置き換えて考える
国の経済は規模が大きいため、分かりにくく感じます。
そこで、国を一人の会社員に置き換えて考えてみます。
| 国の経済 | 個人の生活に置き換えると |
|---|---|
| 国 | 一人の会社員や一つの家庭 |
| 輸出 | 会社から受け取る給料や、外部から得る収入 |
| 輸入 | 外部のお店から買う商品やサービス |
| 消費 | 食費、光熱費、衣服、娯楽などの生活費 |
| 投資 | 仕事用のパソコン、資格取得、車、機械、設備 |
| 金利 | 住宅ローンや事業資金を借りるときの利率 |
会社員の生活で考えてみましょう
```ある会社員は、毎月30万円の給料を受け取っています。
食費、電気代、日用品、通信費などの生活費は、毎月20万円でした。
この会社員が、 「外部のお店から買い物をすると、お金が外へ出ていく。だから今後は何でも自分で作ろう」 と考えたとします。
野菜を自分で育て、服を自分で縫い、仕事用の道具も自分で作ることにしました。
確かに、お店で買う金額は減るかもしれません。
しかし、畑を借り、農具を買い、布やミシンを用意し、道具を作るための材料も必要になります。
自分で作ることに慣れていなければ、時間も費用も余計にかかります。
その結果、これまで20万円だった生活費が25万円になりました。
```給料まで減る可能性がある
問題は、出費が増えるだけではありません。
この会社員は、仕事で使っていた性能の良いパソコンも、 外部から買うのをやめました。
代わりに、性能の低い古いパソコンを使い続けたため、 仕事の効率が落ちてしまいました。
残業が増え、新しい仕事を引き受けられなくなり、 会社からの評価も下がりました。
給料は30万円から28万円へ下がりました。
国の経済も、これと似ています。
輸入を減らした結果、国内で物を作る費用が上がり、 輸出品が高くなって海外で売れなくなれば、 国が外部から得る収入まで減ってしまいます。
ローン金利を上げれば解決する?
さらに、生活費が上がったため、銀行がローン金利を上げたとします。
しかし、ローン金利を上げても、野菜や材料が安くなるわけではありません。
むしろ、仕事用の新しいパソコンや車を買うためのローンが高くなり、 必要な道具を買えなくなるかもしれません。
これが、輸入規制による物価上昇に対して利上げを行うときの難しさです。
数式は間違っていない
ここまで読むと、 「それではケインズ理論が間違っているのではないか」 と思うかもしれません。
しかし、そうではありません。
国民所得を表す式そのものが間違っているのではなく、 各項目が独立して動くと考えることが問題です。
輸入が減ると、確かに式の上では「M」が小さくなります。
しかし同時に、原材料価格が上がり、設備投資が減り、 輸出競争力が落ち、実質賃金が低下して消費も減るかもしれません。
経済は、一つの数字だけが独立して動くものではありません。
一つを変えると、企業の生産、家庭の生活、物価、賃金、投資、輸出、金利へと影響が広がります。
今回の結論は、「輸入を減らす政策はすべて間違い」ということではありません。
```安全保障や重要物資の確保などを考えれば、 一部の商品を国内生産へ切り替えることには意味があります。
ただし、輸入を減らせば自動的に輸出が増え、 賃金が上がり、貿易黒字になり、通貨の信用まで上がる、 という単純な話ではありません。
経済の数式を見るときには、数字同士がどのようにつながっているのかを考えることが大切です。
```この記事は、筆者が考えたテーマ、問題設定、論点および構成案をもとに、 文章の作成と編集にChatGPTを使用しています。 内容は公開前に筆者が確認し、必要な修正を行っています。

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