はじめに

※この記事では発注の流れを説明しています。あくまで発注には自己責任でお願いします。

今回は、Kicadを使って基盤を設計し、オンライン基板製造業者に発注する方法について紹介します。Kicadはオープンソースの回路設計ソフトウェアで、無料で利用できます。基盤を設計するには、回路図エディターとPCBエディターを使用します。回路図エディターで回路図を作成し、PCBエディターで基板のレイアウトを作成します。基板が完成したら、ガーバーファイルを出力し、オンライン基板製造業者に送信します。オンライン基板製造業者は、ガーバーファイルをもとに基板を製造し、数日から数週間後に完成した基板を送付してくれます。

この記事では、Kicadの使い方から基板の発注まで、詳細な手順を説明します。基盤を設計して発注する際には、注意すべきポイントもありますので、しっかりと押さえておくことが重要です。今回の基盤発注は、自分が過去に発注したことがあるPCBGOGOで紹介ます。

PCBGOGO


PCBGOGOを進める理由

1. 日本語でサポートが使える。

基盤が予定通りに出来ないトラブルもある。そのときにメーカーから、「ナンチャラカンチャラ~」と専門的な言葉の英語が出てくる。それが難しい。PCBGOGOは、サポートがしっかりとしているらしく、日本語が使える。どうやったらいいですか?という質問でも対応してくれると思う。
(※使ったことは無いが、ネットで検索すると親切丁寧というレビューをどこかでみた。)

2. kicad用に専用プラグインを用意している。

注文する際の画面が、kicadからデータを引っ張って入力してくれる公式プラグインがある。それを利用すると注文画面に大きなミスが発生しない。

PCBGOGOのプラグインをインストールする

1. Kicadを開いたら、「プラグインとコンテンツマネージャー」を開く


2. フィルター検索で、PCBGOGOを検索し、日本語のところインストールする。


上記インストールをするとPCBエディター画面にPCBGOGOのプラグインが追加される。

これでPCBGOGOのプラグイン追加は完了。


ガーバーファイルの出力

基盤の製造です。ここで必要になるのが、ガーバーファイルの出力です。ガーバーファイルとは、基板の各層(トップ、ボトム、シルク印刷など)の情報を含んだファイルです。Kicadでは、ファイル→出力→ガーバーに進み、必要な層のガーバーファイルを出力します。

1. [ファイル] - [製造用出力] - [ガーバー]を開く


2. ガーバーファイルの出力設定をする


ガーバーファイルの出力は、いくつかポイントがあります。

a) 左端のレイヤーのところにチェックが入っているか?

このチェックは、
  1. F.Cu」の表面の配線のパターンデータ
  2. B.Cu」の裏面の配線のパターン
  3. F.Paste」の表面のはんだ付けをするところのデータ
  4. B.Paste」の裏面のはんだ付けをするところのデータ
  5. F.Silkscrean」の表面の印刷するデータ
  6. B.Silkscrean」の裏面の印刷するデータ
  7. F.Mask」の表面の塗りつぶしGNDのデータ
  8. B.Mask」の裏面の塗りつぶしGNDのデータ
  9. Edge.Cuts」の基盤の外形データ
があれば大丈夫です。

b) x2フォーマットを使用のチェックを外す


ここに

ガーバーデータは基板製造の必須データです。PCBGOGOは.pcbdoc、.pcb、Eagleファイルに対応可能ですが、基板製造の前にこれらをガーバーデータに変換します。基板製造の他に、メタルマスクの製造もガーバーデータが必要です。また、ガーバーデータはRS-274XとRS-274Dの2種類のフォーマットがありますが、RS-274Dには非対応のため、是非RS-274Xに出力しますようお願い致します。
と書いてあります。これはX2フォーマットは使わないでということらしいです。

出力したら、ガーバーデータが出力されます。

ドリルファイルを出力

ドリルファイルは、その名の通り。基盤に穴開けるところのサイズや位置のデータです。このデータがあることで、スルーホールの基盤が出来ます。

1. [ファイル] - [製造用出力] - [ドリルファイル]を開く


2. 設定は、下記のように設定し、出力する


以上の設定で、ドリルファイルが作成されます。ファイルの操作は後述します。

ガーバーファイルの確認

次に、ガーバーファイルが正しく出力されたか、ガーバービューワーを使って確認します。この作業は、してもしなくても良いですが、もし万が一に出力に何かあったりしたら、取り返すがききません。ここでしっかりと確認しておきましょう。

ガーバーデータとドリルデータは出力されたら、下記のところから確認できます。


ガーバーデータを1つずつ確認するのは、手間なので、ガーバージョブデータで一括で開くことができます。

ガーバーデータを確認する。

ガーバーデータは、開くとレイヤーごとに分けて表示されます。

ガーバーファイルの出力の時に書いた内容と同じです。
  1. F.Silkscrean」の表面の印刷するデータ
  2. B.Silkscrean」の裏面の印刷するデータ
 
 
  1. F.Mask」の表面の塗りつぶしGNDのデータ
  2. B.Mask」の裏面の塗りつぶしGNDのデータ
 
 
  1. F.Paste」の表面のはんだ付けをするところのデータ
  2. B.Paste」の裏面のはんだ付けをするところのデータ
  1. F.Cu」の表面の配線のパターンデータ
  2. B.Cu」の裏面の配線のパターン
 
 
  1. Edge.Cuts」の基盤の外形データ

ガーバーデータのチェックの仕方

ガーバーファイルは一度に出力してしまうと被った状態だったりで見にくいです。

1. 表示レイヤーのチェックを一旦、全部外す

全部外すことで、まっさらな状態になります。

2. Edge.Cutsレイヤーをオンにして表示する。

Edge.Cutsレイヤーをオンにすると外形基盤が表示されるので、この範囲にこれから表示していくパーツが収まっていないといけません。

3. 順番に1つずつ表示していく


ガーバーデータをZIP形式に圧縮する

ガーバーデータとドリルファイルは、1個のZIP形式の圧縮ファイルにします。

ファイルの対象は、下のDRLという種類のドリルデータとGBRというファイルのガーバーデータです。

1. ガーバーデータとドリルデータを選択し、ZIPフォルダーにする

ZIPファイルが生成される。これで準備が完了です。

PCBGOGOへ発注する

最後に、基板の発注を確定します。支払い方法については、Paypalをオススメします。基板の製造には、数日から数週間かかることがあります。基板が届いたら、部品を実装して動作確認を行いましょう。

1. PCBエディターを開き、プラグインのPCBGOGOを実行する

PCBGOGOを実行すると基盤の外形や層などを自動入力してくれます。

2. 見積もり画面の確認

この画面はプラグインである程度入力されたものです。もちろん、そのままでも大丈夫です。
 
下の画面はプラグイン後です。このプラグインで簡易のプレビューが表示されます。

明細に関しては、下記の画面です。プラグインで、基盤サイズ、両面、片面が自動で入力。

もちろんこのままでもいいですが、変更することもできます。しかし、値段が変わることもあります。下記の例は、レジストの色を変えただけです。


ほかにも、配線パターンが、F.CuとB.Cuだけではどうしても、入らず、追加してしまった。という場合でも対応はできます。そのときのガーバーファイル名を教えてくれという画面です。

もちろん、追加すれば金額があがります。なるべく両面でがんばりましょう!

発注後にマイページからZIPファイルをアップロード

注文するとマイページに発注書のデータが作成され、その発注書にアップロードする箇所ができます。それでZIPファイルを送信すれば完了。

そのあとは、PCBGOGOで、データ検査を行います。もし、何か間違いあったとしても、連絡がきて、サポートで何をどうすればいいか教えてくれます。


以上、kicadで基盤発注の編終了です