
侠飯9 ヤバウマ歌舞伎町篇
あらすじ
就職活動に焦る主人公は、求人サイトで見つけた企業を訪れる。しかしそこで待っていたのは「運び屋」の仕事。怪しい雰囲気に疑念を抱いた主人公は、警察に相談しようと逃げ出す。
だがその行動は半グレに察知され、捕まり「裏切りのバツ」として金を払えと脅される。もちろんそんな大金を用意できるはずもない。追い込まれた末に主人公は歌舞伎町のスナックで働くことになる。
煌びやかなネオンの下、欲望と恐怖が渦巻く夜の街。客の笑顔の裏に潜む影に怯えながら、主人公は日々を過ごす。そんな中、店に現れたのは頬に傷を持つ謎めいた男が…
レビュー
良かった点
- シリーズらしい料理と物語の融合
- 歌舞伎町の空気感のリアルさ
気になった点
- 中盤はややゆったりした進行
この侠飯シリーズ。レビューとして書いたのは数回くらいだが、全部読んでいる。
侠飯の最初のやつはドラマになったし、漫画にもなっている。
やはりこの本、相変わらずレシピ的な要素、ストーリー的なもの、ビジネス書的な側面が混ざった不思議な一冊。
今回は「トー横キッズ」と半グレを軸に展開される。展開自体は激しく動かず、中盤まではじっくり進むが、最後はスピード感が増して盛り上がる。
エピローグでは、やはりいつも通り前作絡みの人物が登場する。
序盤から就活が思わぬ方向に転がり落ちていく展開がスリリングで、一気に引き込まれた。
舞台となる歌舞伎町の空気感がとてもリアルで、華やかさと同時に裏社会の怖さが描かれていて緊張感がある。
登場人物たちも善悪だけで割り切れない存在として描かれており、主人公が信頼と裏切りのはざまで揺れる姿に読みごたえがあった。
「人に求めるな」——作中で繰り返し響く言葉。
総評
やっぱり面白い侠飯シリーズ。今回も教訓めいた言葉が盛り込まれていて印象的。
特に「人に求めるな」というメッセージは、前作から続くテーマでもあり、シリーズ全体を貫く芯の強さを感じさせる。
こんな人におすすめ
- 侠飯シリーズを継続して読んでいる人
- 歌舞伎町を舞台にした人間ドラマが好きな人
- 料理×ハードボイルドの異色作に惹かれる人
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